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上体を起きし、ベットから出る
布団カバーとして一緒に寝ていた『ダルタニアンの禁書』のヒロイン、ダルニアが物悲しそうにぐしゃりとベットの端っこに置かれている
「これはさすがにかわいそうだな……」
ダルニアのシーツをピンッと伸ばし、ちゃんとたたむ
僕にしては綺麗過ぎるほどによくたためた――
「よしっ……」
ピルルルルルルッ!
突如ケータイが鳴った
「ビクッ! な、なんだ!?」
めったに使わない物だから、ところどころにホコリがかぶってる……
今だなり続けるケータイをおずおずながら取る
「も、もしもし?」
「おっ!? 出た出た。オレオレ! 覚えてる?」
「すみません、オレオレ詐欺は受け付けていませんので他の方に回してください」
「ちっがーう! オレだよ! オレ! 清(しょう)だ! 清!」
「………? あー、おもいだしたー、なんのようだー(棒読み)」
「お前ぜってぇわかってねえだろ!? ホラッ! 前回のコミケ! 夏コミでサークル『レジスタンス』で同人誌配ってた――」
「……ぁ! 思い出した! 稲葉(いなば)清か!?」
「おお! ようやく思い出したか! 心の友よ!」
――稲葉清――
僕がある用事のため、お盆の三日間で行われる夏の大イベント「夏コミ」という、同人誌や同人ゲームなどが売られるイベントに参加したときに、国際展示場と呼ばれる「夏コミ」が行われる会場の、東地区チ33と呼ばれる場所でまったく売れやしない『まじか★マドカ』という超人気アニメの同人誌を売っていた同人サークル「レジスタンス」の中にいた一人だ
どういうわけかは知らないが、僕はその同人サークルの場所にある同人誌を取った(というより立ち読みをした)
なにか惹かれるようなものを感じたのだろう。そしたらこの電話の男<稲葉清>が土下座までして
「頼む! 一部でいい! 買ってください! お願いします!」
と言われ、その熱い執念に負けた僕は「わ、わわ、わかりましたから」といって買ってしまったのが事の発端である
そして、これまたどういうわけか知らないが
「ありがとう! 心の友よ!」といって、赤外線通信までして、電話アドレスとメアドまでもらってしまったのだ(当然僕のも清にあげてしまった)
以来、たまぁーにだが、メールやら電話やらがかかってきていたのだが
最近はプツリと糸が切れたかのように電話やメールなどがこなくなったのだが――
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