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「はあ!?」
品川駅から電車に乗り、秋葉原にそのまま行けると思っていた
だが、その列車からは、秋葉原という駅自体がなくなり、駅を通り過ぎてしまった
「マジ……」
すぐに次の駅「御徒町」で降り、そのまま秋葉原まで走った
普段、全然走ったことがない自分だから、三分ほどですぐに息が切れてしまう
「ゼェ……ゼェ……」
終わりの見えない道に、先の見えない今の受け入れたくない現実が交差する
走ることに向いていない自分の足は、悲鳴を上げているかのように痛くなる
コミケなら、一日十キロくらい歩き回ってるのに……――
「そこでぜぇぜぇ息を立ててがんばって歩いている心の友よ」
どこからか声が聞こえた
「おーい、こっちだっての!」
車道の方から聞こえた
「ウィース! 電話ぶり!」
「清……!?」
車道の横に、黄色の派手なバイクに跨っている清の姿がそこにはあった
「なんだなんだ? たった三ヶ月くらい会ってなかっただけで心の友の顔を忘れちまったか?」
「いや、そんなことはないが……お前、バイク持ってるならそれを早く言えよ……」
「バイクの免許取れたのが先週だったんだよ。それに、お前と会うなんてわからねえじゃんか」
「まあ、それは確かに……」
清は親指を後ろに回し「後ろに乗れ」と言う
「いや、二人乗りは危険だって……」
「んな、堅苦しいことを守ってる奴は、オレの知り合いではいなかったぞ?」
「そ、そうなのか?」
「そうなんだよ。ホラ、お前のヘルメット」
清は僕にヘルメットを投げ渡してきた
投げ渡されたヘルメットをつけ、清の派手な黄色のバイクに跨る
――清って意外とリア充なのか?
「よし、乗ったな? んじゃ、飛ばすぜ!」
いきなりバイクのエンジン音が鳴ったことにビックリする僕であったが、そんなのお構いなしに、清はバイクを発進させた
「いやっほほほほほほぉぉぉぉぉぉぉぉ! 風になるぜぇぇぇぇぇぇ!」
「だあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――」
悲鳴をあげる僕の声を無視し、そのままぐんぐんスピードを上げていく清なのであった――……
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