序章。

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ざわ......ざわ...... ざわつく教室。クラスメイトの上げる話題もその顔も、普段より数倍浮かれている。 無理もない。なにせ今日から夏休みなんだから。しかも高校生活初の。ざわつかない方がおかしな話だ。 「警察沙汰とかはやめろよー。適度に楽しめ。佐藤、号令」 適当な教師の話が終わり、クラス委員が号令がされる。 夏休みかー。何しようかなぁ。特にこれと言った予定はない。家でダラダラするのもありだけど......それはさすがに悲しい、色々と。 帰り支度をしながら思考を巡らしていると、俺のすぐ近くで誰かが足を止めた。下を向いてる俺に相手の顔は見えない。 しかし俺は行動に出た。支度のため俯いてた体勢から、さらに腰を曲げる。 「うーっす!って避けんなっ!」 風を切った音の後に声。馴染みの聞き飽きた声だ。 「毎回、背中叩かれる身にもなれし」 言いながら相手の姿を確認。 平均よりちょっと高い俺の身長よりさらに上の長身。黒の短髪とガタイのいい肩や腕。半袖のYシャツを着ている。うちの制服だ。 いかにもスポーツマンと言った風体の男子高校生。名前は樋口 渡(ひぐち わたる)。残念なことに俺の幼馴染だ。 見た目通りで運動神経が異常に良い。小さいころから剣道をやっていて俺もたまに付き合わされている。俺も運動は得意な方だけどこいつに勝てたためしは一度もない。 幼馴染、これが可愛い女の子だったなら最高の響きなんだけどな。
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