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海「桜。」
桜「ん?」
あたしが廊下に出ると、先に出た海斗があたしの手を握る。
桜「わわっ、ちょ、海斗!?///」
海「この方が安全だからな。
悪いが、はぐれたりしないようにするためだ。
我慢してくれ。」
桜「…いや、でも、恥ずかしいし…」
…海斗、もう少し女心を察して!!
海「…じゃあ、俺について来れる自信あるか?」
うっ…
桜「な、ないです…」
海「だろ?
じゃあ、このまま行くぞ?」
桜「…はーい。」
そして、あたしたちは歩き出した。
………しばらく歩いて階段を上がると海斗が立ち止まった。
海「桜、見てみてくれ。」
桜「へ?」
海斗が窓の外を指さしていた。
あたしも窓の外を見た。
桜「…う…わぁ…!!
綺麗!」
外は星がたくさん広がっていた。
桜「学校からこんなに星が綺麗に見えるなんて知らなかった…」
海「だろ?
俺、忘れ物したときに学校に忍び込んだんだ。
で、廊下歩いてるときにこの星空を見つけたの思い出してさ。
桜に見せたいなと思ってな。
喜んでくれたか?」
桜「ありがと、海斗!
嬉しいよ!
こんな素敵な星空初めて見た!!」
海「そ、そうか///!
よかった、連れてきて。」
桜「うん…!」
あたしたちはそれからしばらく星を眺めていた。
ー…何分か経った頃。
海斗がじーっと廊下の奥を見ていたのに気がついた。
桜「…海斗?
どうかした?」
不思議に思って海斗に問いかけた。
海「いや、何でもない。
そろそろ戻ろう、桜。」
桜「え、あ、ちょっと!?」
海斗が振りむいてしゃべったかと思うとあたしの手をとって足早に歩き出した。
そして、もとの教室へ戻って海斗がすぐにドアを閉めた。
桜「海斗、どうしムグッ」
海「シッ、静かに!」
海斗があたしを抱き込んで口を塞いだ。
海斗の唯ならぬ様子にあたしも素直に従った。
どうもドア越しに廊下の様子を窺っているらしい。
あたしも耳を澄ました。
すると、…
………シュルシュルシュル
………コツコツ バタバタバタバタっ!!
桜「っ!?」
明らかに風の音などではない音が聞こえあたしは恐怖で身体に力が入った。
音はだんだん遠ざかっていき、辺りは無音になった。
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