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桜「…憂にはちゃんと事情説明しておいて。
憂も不安だと思うから…
いくら付き合いの長い幼馴染だとしても、自分じゃない他の女といたら何してたか不安になるもんだし…」
悠「ん、了解。」
そして、悠二は憂を連れて廊下に出て行った。
海「…お前、悠二に何言ったんだ?」
海斗が疑り深い視線を寄越す。
桜「えっ、いや、悠二がいなかったから憂が寂しそうな顔してるよ?って言っただけだよ?」
海「……そうか。」
それ以降海斗は何も聞いてこなかった。
……納得してくれたのかな?
いつもより、えらくあっさりしてるけど…
桜「海斗…?」
海「ん?」
桜「どうか…したの?」
海「いや、どうもしないよ?」
桜「そう…」
…嘘つき…
本当は、あの複雑そうな顔は海斗が嘘ついてるときにする顔だもん…
何年一緒にいると思ってるのよ…
あたしじゃ、チカラ不足なの…?
海「な、お、おい!
ちょ、どうした!?
何で泣いてるんだ?」
桜「なっ、泣いてなんかないもんっ!!」
誰のせいよ…
桜「…っく、ひっく…」
海「っだぁ…!!」
ぐいっ!!
桜「っ!?」
急に腕を引かれたかと思うと海斗に抱き寄せられていた。
桜「かっ、海斗、放して!」
お願いだから、期待させるようなことしないで!
海斗の胸を押してどうにか離れようとする。
でも、それに勝る力でさらにぎゅうっと抱きすくめられた。
海「…嫌だ。
お前に泣かれたらどうしたらいいかわからなくなるんだよ…!!
お前の泣き顔は見たくないんだ…
頼むから…泣かないでくれ…。」
あぁ…貴方はどうしてそんな優しいことができるの?
ねぇ、海斗、ごめんなさい。
少しだけこのままでいさせて…
弱いあたしをどうか、許してください…
あたしはしばらく海斗に抱きしめられていた。
桜「っ!?」
海「なんだ!?」
何分か経った後、いきなり照明が落ちた。
あ、真っ暗…こ、怖いっっ…
身体が勝手にカタカタと震え出した。
そんなあたしを海斗はまた強く抱きしめてくれた。
海「桜、落ち着くんだ。
俺がいる。」
バッタンッ!!
突然大きな音がした。
海「誰だっ!!」
海斗が鋭い声を上げる。
「大丈夫か、お前らっ!!」
桜「まぶしっ…!」
ドアの方から光があたしたちに当たる。
「悠二、2人は大丈夫!?」
海「…はぁ…
悠二と憂か…
あんまり、驚かせるな…」
悠二と憂が近寄ってきた。
桜「ホントだよ…」
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