1人が本棚に入れています
本棚に追加
「よっ!」
お嬢は軽めに手を挙げて言った。
「どうも。」
「随分落ち込んでるね。その機械のせい?」
お嬢は私の隣りに座り丸みを帯びた壁を見つめた。
「それもあるんですけど、」
「死の門のこと?」
お嬢は私の言葉を遮り何も言わない私にやっぱりと続けた。
「私はね、この施設に入れられた人間第一号なの。だからね私は誰よりも多くの人が死ぬのを見送った。最初はあんたみたいに落ち込んだよ。でもね、気づいたの。これじゃ玉葱野郎共に負けるって!こんな施設に入れられたあげく負けるなんて私のプライドが許せなかったの。…プライドと言うよりも本能なのかもしれないぁ。まぁたった三週間で立ち直れなんて言わないけどこれだけは言うわ。負けんなよ、絶対に。」
お嬢はそう言うと笑ってなんかあったらいつでも言いなよと私の肩を叩いた。
「ありがとうございます。」
私はぎこちなかったが久しぶりに笑った。そんな私を見て満足したのかどこかに行ってしまった。
「やっぱお嬢スゲー。」
結太は私のパンを食べながら感心していた。
最初のコメントを投稿しよう!