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「あっあの!」
その日の夜どうしてもお嬢の近くで寝たくて私は声をかけた。この人には近くに居る人を安心させる何かを持っている。 だから皆この人を慕い、お嬢と呼んで尊敬しているのだ。
「黎ちゃんどうしたの?」
「一緒に寝ても良いですか?」
私は自分の寝袋を少し持ち上げて言った。
「ふふっ良いわよ!ちょっと待ってて、寝袋取ってくるから!」
お嬢は壁の中に埋め込んである物置に寝袋を取りに行った。
二十代後半の彼女はスカートを履きショッピング巡りを楽しむ若者には一生纏う事の出来ない魅力を水色のジャージの中に隠している。でもそれは彼女が動く度にもれだし、アロマのように私達を包み込んでくれる。
今夜だけはそのアロマを独り占めして眠りたかったのだ。
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