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「気にすんな。俺も最初はそうだったからさ。」
「結太には恋人が居たの?」
「そうかまだ言ってなかったか。」
結太はそう言って私の肩から手を下ろし、コンクリートの天井を見つめた。
「俺は動物しか愛せないんだ。特に猛禽類がタイプなんだ。」
「そうなんだ。だから結太はよく地下なのに天井を見上げるんだね。」
結太は少し照れてまた話し始めた。
「俺がこの施設に入れられる一年前かな。バードウォッチングに行ってたんだ。その時は自覚が無くて、ただ動物が好きなだけだって思ってた。でも…」
「?」
「でもあの時俺のアムールに出会ったんだ。」
「アムールって愛とか恋愛の神様?」
結太は黙って小さく頷いた。
「珍しい白の鷹だった。俺が手を差しのべるとさ、手の上ギリギリまで来てずっと羽ばたいてるんだ。」
そう言って懐かしそうに手の平を見た後苦しげに握り締めた。
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