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「じゃあ、何てお呼びすればいいですか?リザ・・・さん?」
俺は何だか気恥ずかしい気持ちを堪え、先生の事を初めてそう呼んだ。
その呼び方が新鮮で、自分の心臓が早鐘を打つのが分かる。
その時、先生が剣を落とした。
「あっ!!」
予想だにしない所で先生に隙ができ、俺は踏み込む。
「隙あり!」
俺の剣がリザ先生の喉元で止まる。
「やった!!初めてリザ先生に勝った!!」
剣を幼い頃から先生に習っていた俺は、今初めて先生に勝った。
「お前!今のは卑怯だぞ!」
先生?
何だか年上の女性に言うのも失礼だが膨れて怒るこの人が可愛らしく思えた。
「何がですか?私は何もしていませんよ?」
思わずニヤニヤして俺は言う。
「昔は純粋な子供だったのに・・・。」
何だそれ。確かに、昔はそうだったかもしれないけど・・・。
「私はもう18の男ですよ?」
わざと含みのある言い方で、真剣な眼差しで俺は先生を見つめる。
今の一言に、俺の想いを込めた。
先生、俺はもう大人の男です。俺を、男として見て下さい―。
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