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「しかし、お前が護衛隊に入るとはな。想像もしなかったよ。薬剤師を目指してたからな。」
2年前、王様付きの護衛隊に入ってすぐの頃、ギルバート隊長に言われた。
「どうして、入隊したいと思ったんだ?」
「きっかけはリザ先生でした。私の家庭教師をして下さっていたあの方の剣の腕に衝撃を受けました。私も、リザ先生のようになりたいと思ったんです。それだけでなく、剣を習っているうちに、護衛隊の方々のように王様や国を守る為に、自分以外の誰かを守る為に剣を握りたいと思うようになったんです。」
「そうか。リザも「先生」だったんだもんなー。あいつが誰かの目標となるようになるとは、時の流れを感じるな。」
隊長はしみじみと言った。
「隊長、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ああ。何だ?」
その当時、俺には気になる事があった。
「リザ先生、時々花を持ってどこかへお出掛けになっているようなのですが、どちらへお出掛けなのか隊長はご存じですか?」
俺の質問に隊長の表情が曇る。
聞いてはいけない事だったのだろうか。
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