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「…俺、お前のこと、好きやねん。」
声が、震えないように。
「…え、…ん?、ちょ、マジな顔して冗談いうなよ…気持ち悪いってー!ビビるビビる!」
一瞬、顔を引き攣らせて、そのあと、俺の人生最大の告白を笑い飛ばした、想いの人。好きで好きで、たまらない人。
これでいい。
「…やっぱ、冗談に聞こえるよな。」
「は?…ちょぉ、修平、なに言うてんの」
不安そうな表情を浮かべるその人。なにしてんねん、こんな顔、させたらあかんやん。
…分かってた。分かってたよ。涙なんか、絶対出さん。だって、俺が泣くんて、おかしいやん?ただの自己満の告白やねんから。
俺の、自分勝手な、告白やねんから。
一度、俯き、ふぅーっと一回深く息を吐いて、唇を噛みしめる。
…っよし!!!!
「っ、あほー!まさかこんなうまくいくと思わんかったわ。ちょっと騙されたやろ!?笑い堪えるんめっちゃつらかったから!ははっ」
この日のために、笑う練習してた。思ってたよりキツイけど、ちゃんとできてるよな
こんなこと、逃げやって、分かってる。でもどうしても伝えたくて。いや、伝わらんくてもいい。ただ、言いたくて。
「な、んや…もぉぉぉビックリさせんなやー!修平そんなキャラちゃうから…」
「ははっごめんごめん!罰ゲーム!ほんまあついら酷いわ…俺だってしたくてしたわけちゃうし。ごめんなー。ってことで、明日に備えて帰ろ!」
「お、おう!」
…それが、中学3年生、卒業式の前日のこと…
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