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「あー、はは、中学のころ、思ったら何か、今の状況って信じられへんわ」
そう言った修平に、俺も深く頷いた。
「えー、なにそれ!?」
「まぁ、ええやん!昔の話しは!」
ブスッとした沙耶ちゃんを、まぁまぁとあやす修平に、また複雑な気持ちになった。
昔…の、話し…か。
…あぁ、そうか、わかった。
多分、俺、昔にめちゃめちゃ執着してんねや。あの、自由に、自分の好きなこと出来てた時代に。
修平が、変わっていくのが、嫌なのは、俺だけが置いてけぼりくらったみたいやからや。
はっ、情けな過ぎて、笑けてくる。
「佐々木…?」
「…、帰るわ!」
そう言って、立った俺を、修平と沙耶ちゃんは目を丸くして見た。嫌やわ、やっぱ。2人を目の前にするんが。
また、現実突きつけられてる気がする。俺は修平に現実逃避がしたいだけなんかもしれん。
ほんまに、情けない。どんどん自分が嫌いになっていく。もう、修平がちょっとでも好意抱いてくれてた俺はどこにも居らん。
後ろ向いて、疼くまってんの、俺だけや…
ごめん、修平。俺また逃げる。
「…っ、佐々木!待てよ!」
早々と、修平と沙耶ちゃんの前から立ち去った。やのに、修平は、俺を追いかけてくる。
沙耶ちゃん、置いて、なんで追いかけてくるん。ほんまに、お人好しや。
走って、追いかけてきた修平に、腕を掴まれた。
「…もぅ、修平…沙耶ちゃん置いてきたらあかんやん」
「佐々木が!そんな顔するからやろ!!!!そんな顔されたら、誰でもほっとけやんよ。」
あー、だから、ほんまにお願い…
「優しくせんといてよ、修平」
「…言ったやん…俺は、俺が嫌やからしてるって…アホ。そんなこと言うんやったら俺の前でそんな顔するな。」
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