03

13/15
326人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
めっちゃくちゃ、さむーい! そりゃそうか、春っていうてもさすがにこの風の強い海では寒い。首を撫でる風にボボッと鳥肌が立つ。 「…海…」 ぽつりと、隣におる修平がつぶやく。子供みたいに目をキラキラさせて 俺の知らんかった顔ばっか 「うーみーー!!!」 テンションが上がって、叫ぶと、隣ですぅ、と息を吸う音がする。 「青春の、ばかやろー!!!」 海に向かって叫んだのは修平で、俺はまた驚いて修平を見る。 だって、それ、 「それ…」 「ふふっ、いくら誰もおれへんからって、さすがにこれは恥ずかしいな…」 照れたように笑って、頬を赤らめる修平。ほら、またかわいい 「俺も、同じこと考えてた」 「え?」 「海で、青春のバカヤローって叫びたいなぁって。修平に先越されてもたぁ」 「佐々木って、変わってるんやな」 「そのセリフ、そのままお返しします。」 そう言って、また笑って、あの怪我以来、こんなにも楽しいのってはじめてかもしれへんなぁ 砂浜に並んで座って海を眺めながら、どーでもいいようなこと話して、笑って。 .
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!