【序】神々の盟約

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  遠い、遠い記憶の果て――。 少女は祈っていた。 断崖絶壁の丘陵の上で静かに。 両手を組み、 膝を付き、 目を閉じ、 耳を澄まし、 心を無にする。 「誠の戦女神ミリアリアよ。我らに天命と守護を与えたまえ」 少女はそう呟くと瞳を開く。色白の肌に黄金に煌く髪、真紅に輝く瞳色、その周囲を覆う蒼眼。そのか細き体に纏われたのはライトシルト王国に代々伝わる剣騎士の鎧『ヴァルナンハーデ』、ラナス語で“気高き淑女”という意味の女性騎士用の鎧である。 「姫様」 そこに1人の男が駆け寄った。 朝黒い肌に茶色の瞳。彼が姫様と呼んだ少女と同じ白を基調とした騎士装束を身に纏い、腰の剣を佩いている青年。  
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