【序】神々の盟約

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  「アスタナ、戦況はどうだ?」 少女の言葉にライトシルト王国王立騎士団長アスタナ=ヴェルファルシュは拝礼をして顔を上げる。 「はぃ、ラクティス軍はテルマン城砦を突破、刻一刻とこのライトシルト城に向かってきております」 アスタナからの報告に少女の顔が少しだけ歪んだ。テルマン砦を守っていた仲間の安否をアスタナに尋ねた少女は彼が首を左右に振るのを見て目を伏せる。 「分かった。次はこの城という事だな。ライトシルト王国国王フォン=バラン=ライトシルトに変わって、その娘ルヴィナ=フォン=ライトシルトが貴君らに命じる。我々はラクティスには属しない。我々の誇りと命と力の限り、抵抗する。それが我々にすべてを託して星に還られた父上の、母上の、仲間達への報いだ」   少女の言葉に彼女の眼前にひれ伏す無数の剣士達の雄たけびが上がる。ライトシルト王国最後の王族、ルヴィナ=フォン=ライトシルトは彼らにとっても最後の希望であり、“剣聖の国”と呼ばれたライトシルト王国の最後の末裔であった。  
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