空間 -序章-

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彼は俺を覚えてはいない。 酷い事故に巻き込まれ 全ての記憶を失った。 泣き崩れる彼の両親を見て 『彼の中で二度と俺は戻ってこない』 そんな風に思った。 俺は 未練がましく 彼の隣に座っている。 触らず、語らず、 目も 合わさずに。 ただ、隣に座る。 ただ、望んでいたんだ。 もう一度…。 もう一度… 「好きになって欲しい」 と。 彼は俺を覚えてはいない。 だけど、 ここに在る君が大切なんだ。 [空間 Ⅱ]
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