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アルバムはなかった
その代わり
綴じられてはいない写真が数枚
友人達と撮ったものらしい
僕は変な顔をしている
彼の横で
笑う僕
見ても思い出せない
歯がゆさに悲しくなって
僕ではない僕が
笑う姿が憎らしくなった
大切な何かが
その先にあるような気がして
苦し気な彼の表情を
思い起こす
彼が望むのは
僕ではない僕
突きつけられている事実
「…人違い…か」
忘れてくれと言われた
僕が僕ではないからか
一瞬にしてさらわれた熱
あの時
突き放さなければ
どうなっていたのか
過ぎた事を考える
消えた僕は
何処へ行ったのか…
探す術はないままに
写真をじっと見つめてた
[深く沈んだ日 -空間-]
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