15人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は俺を覚えてはいない。
酷い事故に巻き込まれ
全ての記憶を失った。
泣き崩れる彼の両親を見て
『彼の中で二度と俺は戻ってこない』
そんな風に思った。
俺は
未練がましく
彼の隣に座っている。
触らず、語らず、
目も 合わさずに。
ただ、隣に座る。
ただ、望んでいたんだ。
もう一度…。
もう一度…
「好きになって欲しい」
と。
彼は俺を覚えてはいない。
だけど、
ここに在る君が大切なんだ。
[空間 Ⅱ]
最初のコメントを投稿しよう!