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「義樹ぃぃ!!!」
信明が自分の名前を叫ぶ声が聞こえる。
兵士が日本刀を振り下ろした速度だったらすでに自分の首は宙を待ってるはず。
義樹の短い人生の思い出が脳を駆け巡る。
-そうか、これが走馬灯ってやつか-
ゆっくり目を開けると切っ先がゆっくりと迫ってくる。兵士の顔も狂気に満ち溢れてる。
「待てぇぇぇぇい!!!」
切っ先が首に当たる数センチ手前で突如兵士の集団の中から叫ぶ声が聞こえた。
その声で義樹を殺そうとした兵士の攻撃が止まった。
-助かった…のか?-
兵士は攻撃を止めたものの
日本刀を握る手は力の入れすぎで
ガチャガチャと震えている。
「勝家、刀を納めろ」
兵士の集団の背後から馬に乗った若めの男が姿を現した。
勝家と呼ばれた兵士は大人しく日本刀を鞘に納めた。
その光景を見ただけで若めの男がこの集団のボスだと誰もが見てわかった。
「うむ、貴様ら二人はどこのものだ」
ボスは義樹と信明に冷たく問いかけた。
だが義樹も信明もそのボスが放っ雰囲気に圧倒されて口を開くことができなかった。
「勝家、この者たちを本陣に連れて行け」
「はっ!」
ボスの命令に勝家と呼ばれた兵士が義樹と信明の腕を掴み歩きだした。
抵抗することのできない二人は
ただ歩くことしかできなかった。
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