煙の向こうにあるもの

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あっけなかったな。 人生なんてどう転ぶか判らない。 「じゃ、またな」 そう言ってあいつが俺の部屋を出て行ってから未だ3日も経っていないのに。 次は何処にツーリングに行こうか、なんて地図を見ながら話をして、冷え込んで路面が凍る前に帰るわとそう言って帰ったあいつ。 その1時間後に冷たい霊安室であいつを見ようとは。 奥さん、泣かせちまってよ。 何をやってるんだよお前。 火葬場の煙突を見ながら俺は一人呟く。 ポケットからマルボロを取り出して口に銜えて火を付けようとして、止めた。 煙ならほら、お前の焼けた分があそこから上がってるじゃないか。 誰に言うでもなく呟いて俺は火葬場の控室に戻った。 あいつの奥さん、俺の妹をなぐさめなきゃな。
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