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「どうですか、これなんか会社の立地条件には物凄く良いと思うんですよ」
そう言って目の前に展開したのは何故か火星図。
「でもこれ」
「そう、今時代は火星です。
地球に閉じこもっていては仕事も逃げていきますよ」
言ってる事は正しい、と思う。
でも私を相手にしている時点で充分に謎だ。
「あの」
やっと返事以外の事を話したと思って喜んだのだろう、男がじっと私の顔を見ている。
「もう少し人を選びましょうよ、えと安東さんでしたっけ」
一応名刺を見て名前を確認してからそう言ってみる。
「私、会社を興すつもりこれっぽっちもないですし、それに親が一応会社のトップだったりするんでその手の話は結構です」
「いや貴女は絶対に」
立ち上がって家に帰ろうとする私の事を尚も追いかけて来る男にいい加減ウンザリして来た。
「あの、ですね。
余り私に構わない方が良いと思うんです。
さっきから貴方の事をどうにかしたくてうずうずしてる人が居るので」
珈琲ショップの陰に居る、私を警備しているお兄ちゃんが苛苛しているのが伝わってきて本当に怖い。
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