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「言っている事は概ね正しいとは思うんですけど、火星のその辺りは人が住める状態じゃないですし立派に詐欺師で通用するかと」
大シルチスのあの辺りは確かうちの会社の採掘場が有る。
希少鉱物を発掘するだけの場所で人が入植出来るようにはなってない筈。
「何も知らなさそうな女の子に声を掛けてそれっぽくお誘いしてお金騙し取ろうって言うんじゃ無いならもっと本腰を入れて本命探してアタックすれば良いと思う。
これ、うちのママの名刺。
会う気が有ったらアポとったら良いよ」
ついて来られたくなかったから親の名刺を一枚男に渡した。
端をきちんと折って番号付けて。
それを受け取った男は一瞬固まったと思ったら奇妙な悲鳴を上げて腰を抜かしてしまっている。
私はそんな謎の行動をするコンサルタント氏を放置してお兄ちゃんの方に向って歩き出した。
「いいの?」
「本気ならアポ取るんじゃない?」
「いきなりビッグネームだから腰抜かしちゃってるよ」
お兄ちゃんの言葉にちょっぴりだけ頷く。
可哀想に、私に声掛けなきゃ良かったのにね。
まさか西園寺カンパニーの一人娘に声掛けたとは思ってなかったんだね。あの男。
どっちにしろ怪しかったけど。
この男の事は夕飯時に笑い話になったのは言うまでも無く。
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