斜向かい

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「すごい顔」 「ん?何か言った?香坂くん?」 顰めてた顔を慌てて戻し、口角を無理矢理上げて声のした方を見る。 そこには一人の男子高校生がいた。今、自分が着ている制服と似たデザイン、同じ配色。つまり同じ高校の生徒だ。そして、斜向かいの幼なじみ。 「なに、髪型変えたの?似合うじゃん。かわいいよ」 ぼっと顔から火が出た気がした。 あっさり言われた言葉に、思わず顔を背ける。 「あ、ありがとう」 恥ずかしさで声が小さくなってしまったから、届いたかどうか。 なんで恥ずかし気もなく言えるのか。 天然タラシめ。 「先に行くね」 「なんで?」 「誤解されたくない」 「ふーん…」 彼は昔からそうだ。抜けているというか、気にしなさすぎる。
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