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「ねぇ。おねえさまも、いっしょにケーキつくろうよ」
一枚一枚の味をじっくりと堪能しながら、次々と口へと運んでいるディアの袖を引っ張りながら、ローレルは次のケーキ作りに誘う。だが、ディアはお茶で喉を潤すと、唇を尖らせた。
「私は、いいよ」
「どうして? ケーキつくろうよ」
「そうよ、一緒に作ったら楽しいわよ」
ディアの拒否をローレルとキルシェの二人がめげずに誘い続ける。
「だって、私は料理するよりも、お母様に剣を習ったり、お父様とここで花の手入れをしたりする方が好きなんだもん」
「まぁ、ディア。貴方もいい歳なんだから、料理の一つくらいできないとお嫁に行けないわよ」
引こうとしないキルシェが言った言葉に、何かを思い出したのか、ザカートが思わず吹き出す。
「フフッ、そうだな。キルシェもここに来た頃は、料理が一切できなくて悩んでいたからな」
「ザ、ザカートッ!」
慌ててザカートの言葉を遮ろうとする。その慌てっぷりを見て、ザカートはさらに肩を震わせる。
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