家族

11/11
前へ
/178ページ
次へ
キルシェは心から幸せを感じていた。 素直で可愛らしい子供たち。 優しく包み込んでくれる夫。 温かく、安らげる家庭。 自然と笑顔でいる時間が多くなり、素直な自分を出せるようになっていた。 もちろん、祖国ガルデニアを恋しく思い、懐かしくなることはある。 養父母やリコリスのことを忘れたことなどもない。彼らが、今も元気で暮らしているか、気になることもある。 けれども、それ引いても、今の生活は十分すぎるほどに満たされていた。騎士として務めていた時にはなかった、心の充実感。 キルシェは感謝していた。 自分を変える切っ掛けを与え、こんなにも愛おしく思える家庭を与えてくれたザカートに。 そして、そんな彼と引き合わせてくれた運命に―― キルシェは、楽しそうにお茶の時間を過ごす家族を見つめ微笑む。 今、この時の幸せを胸一杯に感じながら―― 【終わり】
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加