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キルシェは心から幸せを感じていた。
素直で可愛らしい子供たち。
優しく包み込んでくれる夫。
温かく、安らげる家庭。
自然と笑顔でいる時間が多くなり、素直な自分を出せるようになっていた。
もちろん、祖国ガルデニアを恋しく思い、懐かしくなることはある。
養父母やリコリスのことを忘れたことなどもない。彼らが、今も元気で暮らしているか、気になることもある。
けれども、それ引いても、今の生活は十分すぎるほどに満たされていた。騎士として務めていた時にはなかった、心の充実感。
キルシェは感謝していた。
自分を変える切っ掛けを与え、こんなにも愛おしく思える家庭を与えてくれたザカートに。
そして、そんな彼と引き合わせてくれた運命に――
キルシェは、楽しそうにお茶の時間を過ごす家族を見つめ微笑む。
今、この時の幸せを胸一杯に感じながら――
【終わり】
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