76人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
その日、ガルデニア王国は人々の笑顔と活気で満ちていた。
男たちは朝から酒場を賑わせ、女たちは着飾り様々な店を巡り歩いている。露店商なども今日が稼ぎ時とばかりに、道行く人に声をかけ、必死に気を引き自分の店の商品を売り込んでいる。
毎年、建国記念日の前後二、三日を合わせた約一週間は、このようなお祭り騒ぎで王都は賑わっている。
長く続いた戦争の傷も癒え、年々華やかになってはいるが、それでも今年は例年にない賑わいを見せていた。
その理由は、この国の王位継承権を持つ王女にあった。
この国では、十八歳が成人の年齢になる。終戦の年に生まれた王女が明日、その成人の歳を迎えるのだ。その祝い事も重なり、王国の賑わいは例年以上のものになっているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!