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「どうして・・・・・?」
わけがわからず神野ほうは言のようにつぶやいた。
そねのとき、
「ピンポーン」
と、玄関のチャイムが鳴った。しかし、神野はそれも耳には入らないのか、ただ座り込んで震えていた。
「ピンポーン、ピンポーン」
どれくらい時間が経っただろうか。神野はようやく我に返り、チャイムの音に気がついた。
恐る恐るドアを開けると、そこに立っていたのは真由美だった。
「真由美ちゃん!?」
「こんばんは。お元気でしたか・・・・・」
「えっ・・・・・うん。今日、会社に刑事さんが来たけど、何かお姉ちゃんが大変なことに・・・・・」
「そうなんです。その件で刑事さんから連絡があって、お姉ちゃんに来たメールのアドレスは神野さんのものだって・・・・・」
「僕じゃないんだ」
「やっぱり違うんですね?」
「僕のアドレスを誰かが勝手に利用したんだ」
「私も神野さんがあんなことをする人だと思っていません。ただ、刑事さんにいろいろ神野さんのことを聞かれて、心配になって・・・・・・」
「ありがとう。でも、僕も調べてみるから、今日のところは帰ってくれないか」
「でも・・・・・」
心配して知らせにきてくれた真由美に悪いと思いながらも、強引にドアを閉めた。
(今はそれどころではない。警察にも疑われ、しかも指が・・・・・)
神野は必死に恐怖をおさえながら、もう一度、部屋に戻り、床に転がった指を見てみた。爪に真っ赤なマニュキュアが塗ってある。
「間違いない。梨花の指だ・・・・・」
いつも梨花は、大好きな赤いマニュキュアを使っていたのだ。
「でも、なぜ? なぜなんだ」
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