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神野は悪い夢でも見ているような気分になっていた。きっと目が覚
めたら終わる・・・・・・そう思い込もうとしていた。
署に着くと、警部は真由美も署まで呼ぶように部下に命じた。昨
夜、神野の家に真由美が来たところを、張り込んでいた部下が目撃し
ていた。事件が起こった以上、なぜ真由美が神野の家に行ったのか、
神野に何か変わった様子がなかったかを聞く必要がある。
部下が真由美の家に向かうのを見届けると、警部は取り調べ室で神野の
尋問を始めた。放心状態の神野に警部が言った。
「大丈夫ですか? 話せますか?」
「・・・・」
「神野さん?」
「僕は犯人なんかじゃありません!」
「それは、調べればわかることです」
「・・・・・・」
「犯人じゃないことを証明するためにも、知っていることはすべて話してください」
神野は梨花の指の事を話すべきか迷った。
(話したら・・・・・犯人にされてしまう・・・・・)
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