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「わかります。しかし、誰が」
「それわ・・・・・わかりません」
「このアドレスでメールを送れるのは、あなた以外にはできないん
でしょう?」
と、警部は声を強めて言った。
「いや、前回も言ったように、誰かが私のメールサーバーに入
り込めば可能です」
神野は、同じ説明をした。
「どうやって?」
警部が厳しく突っ込んだ。
「メールサーバーは外部から入れないように、当然、パスワード
や暗号でブロックされていますが、優秀なハッカーなら侵入できるは
ずです」
神野は必死に説明した。
「どれくらい優秀な相手ですか?」
「相当な・・・・・・」
「あなたならできますか?」
「いえ、私のレベルでは・・・・・・」
本田警部は、神野を完全に疑っているわけではなかった。状況から
見るとたしかに神野は疑わしい。しかし、サイバーフォン社のメール
センターで仕事をする神野が、わざわざ疑われやすい自分のアドレス
で送信するはずがなかった。
そもそも神野のような弱気で真面目な男が誰にも気づかれずに人の
足の指を切り落としたり、人の耳を切ることなどできるだろうか。
(やはり、神野が言うように外部の人間が・・・・・)
本田警部は深くため息をついた。
神野はとりあえず帰宅ゆ許可された。警察の監視は続けられた。神野
は家に戻ると、すぐ庭に出てみた。
(なぜ見つからなかったのか?)
不思議でならなかった。庭には、新たに土を掘り起こした跡がいく
つもあった。しかし、指を埋めたその部分だけが、まったく手をつけ
られていなかった。
神野は、このまま逃げ出してしまいたい気持ちを必死に押さえ込みなが
ら、埋めた場所を掘り返してみた。
神野の足がガクガクと震え出した。
そう! そこには、梨花の指と一緒に耳が二つ入っていた。菊地の
耳だ。
(これはイタズラだ! 誰かが俺を、いたぶっているんだ!)
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