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神野を帰した本田警部は、ディスクの前で考え続けていた。
(犯人が神野にしても、別の人間にしても、どいやって切断を・・・・・)
めし、方法があるとするなら、相手を睡眠薬で眠らせてから指を切
断し、完璧な止血をほどこすだろう。だが、すべての作業を瞬時に行わなければならない。相当の技術と知識がなければとうてい無
理な方法だ。レーザーや水圧で切る方法もあるが、これだけきれいに
切り落とすには、大掛かりな設備が必要で無理だろう。
警部はこの事件を完全非公開にすることに決めた。アメリカの「X
ファイル」の扱いだ。アメリカだけでなく日本でも科学的に説明のつ
かない奇怪な事件や残虐な事件は、情報操作することがある。
(突然、指や耳がすっぱり切れるなんて・・・・・・これもあの事件と・・・・・・)
警部は、四年前に担当したある事件を思い出していた。ホラー小説
を原作とした映画かの撮影現場で、計3人のキャストやスタッフが次々と変死したのだ。
捜査担当となった警部は撮影したフィルムを調べたが、ある部分が
気になり、何度も巻き戻した。黒い影のようなものが、主人公の後ろ
その翌日、主人公役の俳優はスタジオで、ふだんは絶対に落ちるは
ずのない照明器具が落下して死んでしまった。残されたスタッフは、みんな「霊のしわざだ」とウワサした。状況が不審なことから警察は
殺人事件の線でも調べたが、結局のところ犯人は見つからなかった。
事件は迷宮入りしたが、警部は独自で調査を続けた。そして、小説
の原作のところで、とんでもない話を耳にした。その時とは「この
物語は、実話を題材にしている」というものだった。そして、原作者
自らも心霊体験をし、小説を封印した。しかし、権利をもつ出版社に
より再出版されたのち映画化された。
原作者は、それ以上のことは怯えて話さなかった。ただ、別れ際に
「あたたも気をつけてください」と一言だけ言った。
原作者の家を後にして警部が車に乗り込むと、天井で「ドタ」とい
う音がした。
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