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「神野さんが、そんなことするはずがありません」
神野の人柄を知る真由美は強く否定した。
「ええ・・・・・念のために・・・・・・・」
「本当にありえません」
「しかし・・・・・・あのメールの送信者は、神野さんだったんです」
警部は、メールの送信アドレスが神野のものだったことを思わず口にしてしまった。
「えっ。それっ本当なんですか!? で、神野さんは何て?」
「いや・・・・・ハッカーじゃないかなどと・・・・・まあ、後はこちらに任せてください」
捜査の秘密をうっかり口にしてしまった警部は言葉をにごし、あわてて電話を切った。
あの神野が事件に関係している・・・・・・真由美にはとてもそう思えなかった。しかし、メールの送信アドレスは神野のものであるという。
(警察は間違いなく神野さんのことを疑っている)
神野とは、真由美も梨花と三人で何度か食事をしたことがある。一流企業に勤めているのに仕事の自慢話もせず、姉や自分の話にやさしく微笑む神野のことを、真由美はお姉ちゃんの彼氏ながらいい人だと思っていた。二人が別れることになったとき、「これで神野さんに会えない」と思うと寂しさがこみ上げたのを覚えている。
記憶がよみがえるにつれ、真由美は、だんだんと神野が心配でたまらなくなっていた。
(絶対に神野さんがあんなことをするはずない・・・・・ハッカー・・・・・誰かに利用されているんだ・・・・・)
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