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「まぁいいわ。ここで話すのもなんだし、『月光機関』の事を一から教えなきゃね。ほら、立ちなさい」
「けが人に言う事かよ」
「もう傷はほとんど治ってるんでしょ?だったら立つの」
渋々ベットから降りる。
腹部の傷はもう痛くない。
歩いてもズキズキ痛まない、これなら大丈夫か。
「それじゃ、この『月光機関』の事を説明するわ」
と言いながら、奈々美は部屋から出る。
俺も、暗黙の了解で奈々美についていき、部屋を出た。
部屋を出ると、そこは白い廊下だった。
市民病院を思わせるような手すりや青いラインもどこにもない、壁も床も天井も真っ白で、区別がまったくつかない。
「『月光機関』っていうのは、『怪属』と呼ばれる特異能力者を保護する組織よ。結成したのは十年前、その創立メンバーの一人が、
あんたのお母さんよ」
「なっ!?」
さり気なく重要事項を言いやがったぞこいつ!?
いや、俺の母は一応科学者だけど!
いやいや!なんで母さんがこんな組織を!?
「あんたのお母さん、即ち『高崎夏子(たかさきなつこ)』は、学生の頃から『怪人』に関する研究をしていた。あたしは彼女の教え子だったから、取り憑かれたようにあたしも『怪人』の研究にハマったわ」
「……いや、あんたが俺の母さんの教え子だったというより、母さんがこんな組織を作っていた事が驚きだよ」
俺を育てながら、そんな事をやってたのか。
昔から、母さんは変わり者だとは思っていたが、
ここまでとは、我が母でありながら驚きである。
「少し話が逸れたわね。『月光機関』は、『怪属』を保護するだけじゃないの。『怪軍』に対抗する為の組織でもあるのよ」
「か、怪軍?」
「正式名称は、『怪属殲滅軍』、略して『怪軍』よ」
完全にワン○ースだろこれ、怪属といい怪軍といい、このゴムのような身体。
間違いなくワン○ースだろ。
「『怪軍』はいわば、『怪人』のメカニズムを解明した異能組織。『怪人』の持つ特異能力を利用し、世界を征服しようとしているわ」
「世界征服って、大昔のアニメあたりの設定によくあるよな」
「それが本気なのよ、あっちは。でも幸いな事に、特異能力のメカニズムを解明しただけであって、作る事はできていない。
そうなる前に、こっちが先に、特異能力を人口的に作る事が出来ればいいけれどね」
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