CASE1 怪属

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「まぁいいわ。ここで話すのもなんだし、『月光機関』の事を一から教えなきゃね。ほら、立ちなさい」 「けが人に言う事かよ」 「もう傷はほとんど治ってるんでしょ?だったら立つの」 渋々ベットから降りる。 腹部の傷はもう痛くない。 歩いてもズキズキ痛まない、これなら大丈夫か。 「それじゃ、この『月光機関』の事を説明するわ」 と言いながら、奈々美は部屋から出る。 俺も、暗黙の了解で奈々美についていき、部屋を出た。 部屋を出ると、そこは白い廊下だった。 市民病院を思わせるような手すりや青いラインもどこにもない、壁も床も天井も真っ白で、区別がまったくつかない。 「『月光機関』っていうのは、『怪属』と呼ばれる特異能力者を保護する組織よ。結成したのは十年前、その創立メンバーの一人が、 あんたのお母さんよ」 「なっ!?」 さり気なく重要事項を言いやがったぞこいつ!? いや、俺の母は一応科学者だけど! いやいや!なんで母さんがこんな組織を!? 「あんたのお母さん、即ち『高崎夏子(たかさきなつこ)』は、学生の頃から『怪人』に関する研究をしていた。あたしは彼女の教え子だったから、取り憑かれたようにあたしも『怪人』の研究にハマったわ」 「……いや、あんたが俺の母さんの教え子だったというより、母さんがこんな組織を作っていた事が驚きだよ」 俺を育てながら、そんな事をやってたのか。 昔から、母さんは変わり者だとは思っていたが、 ここまでとは、我が母でありながら驚きである。 「少し話が逸れたわね。『月光機関』は、『怪属』を保護するだけじゃないの。『怪軍』に対抗する為の組織でもあるのよ」 「か、怪軍?」 「正式名称は、『怪属殲滅軍』、略して『怪軍』よ」 完全にワン○ースだろこれ、怪属といい怪軍といい、このゴムのような身体。 間違いなくワン○ースだろ。 「『怪軍』はいわば、『怪人』のメカニズムを解明した異能組織。『怪人』の持つ特異能力を利用し、世界を征服しようとしているわ」 「世界征服って、大昔のアニメあたりの設定によくあるよな」 「それが本気なのよ、あっちは。でも幸いな事に、特異能力のメカニズムを解明しただけであって、作る事はできていない。 そうなる前に、こっちが先に、特異能力を人口的に作る事が出来ればいいけれどね」
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