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「……現時点で、『怪人』の能力は保管しているのか?」
とりあえず、俺は好奇心に尋ねてみる。
「『怪人』の肉体を、丸薬にする研究は成功しているわ。現在保管庫でその丸薬を保管している。私たちはそれを、『悪魔の丸薬』と呼んでるわ」
「悪魔の実みたいに言うなよ」
「他になんていえばいいのよ」
思いつかんが、もっと別の言い方があったろうに。
「まっ、『悪魔の丸薬』って考えたのは、夏子さんだけど」
お前か、母よ。
いくら俺がワン○ースが好きだからって、やばくないか?
「『怪属』を保護してるっことは、他にも『怪属』が居るのか?」
「まぁそうね。新入り『怪属』だけでも、今月であんたで三人目よ」
二人も居るのか。そう考えていると、奈々美がふと、部屋の前で足を止めた。
扉の上にあるプレートには、『会合室』と書かれていた。
「ここに、例の二人が居るから、まぁ挨拶でもしなさいな」
「えっ。ちょっと、まだ心の準備が……」
俺の答えを聞かずに、奈々美は扉を開けた。
中は、数十人が議論するのに丁度いい大きなテーブルがあり、
そのテーブルの下に置かれている沢山の事務椅子に、二人の男女が、それぞれ二つに座って対談していた。
一人は、俺より一つ年上を思わせる男だった。上のボタンを外した学生服。目の上には切り傷、三白眼に鋭い目をしていた。
もう一人は、中学生ぐらいの少女だった。桃色の髪にふわふわのポニーテール。こちらは白いワンピースを着ていて、メガネをかけていた。
「二人とも、紹介するわ。高崎幸路くんよ」
「……おぅ」
「よ、よろしくお願いします」
男は無愛想に、少女はよそよそしく挨拶した。
「どうも……」
俺も一応、挨拶で返す。
すごい高低差あるな、この二人。
「え、えっと、名前はなんて言うのかな?」
とりあえず、名前を聞こう。なんて呼べば良いか解らん。
「……『八十八兼定(やそはちかねさだ)』、漢数字八十八に、刀工の和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)の兼定」
「み、『三島和音(みしまかずね)』、です……」
それぞれ、自己紹介をする二人。
「二人とも、あんたと違って前から『怪属』になってた。『怪属』のキャリアなら、先輩ね」
「まぁ、確かに……」
「ところで」
ふと、兼定が俺に尋ねてきた。
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