プロローグ

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「………あーもう、解ったよ。行けばいいんだろ?行けば」 「わーい!ユッキー大好きー!」 けろりと表情を変える千里。 殴っていい? とはいえ、俺の周りにいる男子どもが、何やら殺気を孕んだ目でこっちを睨んでくるので、 殴るのはとりあえずやめとこう。 命がいくつあっても足りん。 「じゃあ夕方あたりに来てねー!わたしの特製生トマトご馳走してあげるよー!」 「おい、それはただのトマトだろ?」 なんてコントのようなやり取りをしながら、千里と別れる。 やれやれ、すっかり昼が過ぎてしまった。 昼飯作らなきゃならないのにな。 「ただいまー」 ………… ただいま。とは言っても、 それに答える人は居ない。 父は交通事故でご逝去。 母は海外へ出張しているために、 今現在、家に居るのは俺だけ、 まぁ、父が死んだのは十年も前だ。 悲しいというより、寂しい。の感情があった。 でも、今更父が欲しいとか考えてもしょうがない。 そもそも母にそんな手間をかけさせたくもないし、 なにより俺は、一人でも大丈夫だ。 困ったら千里に頼ればいい。少し抵抗があるけど。 「……うわっ、野菜が無い。しかも残ってるの漬け物ってどういう事だよ」 嫌がらせか? 嫌がらせという名の嫌がらせか? 最悪だ。しかも結構前のだ。 くそっ、今から買い物しなきゃいけないな。 腹減ってるけど仕方ない! 頑張れ!俺! 「……あー、腹減った」 駄目だった。もうメシ作る気力が無い。 気力ナッシング。 というわけで近くのコンビニで弁当買って食べた。 メンチカツコロッケ弁当、定価390円ナリ。
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