プロローグ

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「(やっば!いくら一人暮らしでも、こんなに遅くなると駄目だ!)」 帰りも大急ぎで自転車を漕いで、 家路を急ぐ。 空き巣とか入ってないよな? しかし、その時俺は、ある過ちをしていた。 大急ぎだったため、俺は山ノ内公園の方を通っていた。こっちの方が速く着くからである。 そして、俺は忘れていた。山ノ内公園には、夜中になると怪物が出るという噂を。 たかが噂。とは思っていたが、 噂の中にも、本当の話がある事も、あるにはある。 「ぁ」 猛スピードで山ノ内公園に差し掛かった所で、 俺は突然、空中に投げ出された。 自転車とともに宙に浮いた俺は、 そのまま地面に叩きつけられた。 「ぐぁっ……!」 身体をかばったゆえに、左腕を強打した。 多分折れただろうな。ぼきっ、って鈍い音したしな。 俺はその時、腕の心配より、何故自転車から投げ出されたのか。それが一番気になっていた。 そして、すぐに理解した。 山ノ内公園に居る『それ』が、俺の目を捉えていた。 俺の身体より一回り以上大きい蛇だった。 白い鱗に、紅い目、100mあろう長い身体、口から飛び出る二本の牙、俺はその姿を見て、 ある言葉を思い出した。 『怪物』という、言葉を。 「(なんだ……?生き物なのかよ……あいつ……!)」 『シャァァァァァ!!』 その姿に終始驚き、身の危険があるのを、俺は疎かにしていた。 長すぎる尻尾が動いたと思えば、 いつの間にか、尻尾は俺の腹を貫いていた。 「ぅ、ぁ、」 今どうなっている?俺は死ぬのか? うぁっ、後から痛みが段々来た、ジェットコースターみたいに痛みが来た。 腹を貫かれた感覚がこんなにも激痛とは、 凄い痛い。つーか死ぬ程痛い、 あっ、俺死ぬ間際だった。 尻尾が俺の身体から引き抜かれると、 そのまま重力に従って倒れる。 力が出ない。あー、駄目だ。全然立てる気がしない。 やばい、視界が段々ぼんやりになってきた。 あとなんか眠くなって、きた。 家に……帰らないと、 あ、 今週……ジャ○プ、読むの……忘れて……た……… …… ………… ……………… 「見つけたわ」
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