CASE1 怪属

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「……ん」 身体中に疲労感を感じながら、俺は目が覚めた。 あれ?いつの間に俺は寝てたのか? つーか、天井よく見たら、なんか見たことない白い天井だ。 しかもベットが不思議と硬い気がする。 「よいしょ……!いたたた!!」 起き上がろうとすると、腹部に激痛が走る。 腹を下したか?と思ったが、肌触りが寝巻きとは違う。 自身の腹部をよく見ると、白い包帯がまかれている。しかも上着は脱がされていて、ズボンだけ履いていた。 「あ?なんで俺上半身裸なの?」 脱ぎ癖は俺には無い。しかし脱いでいる事に変わりは無い。 いや、それより、 「なんで包帯なんて巻いているんだ?」 「気がついたのね」 ふと、部屋に一人の女性が入ってきた。 長い髪を後ろで一つに束ねたポニーテール、モデルを思わせるスタイル、青色の縁のメガネをかけ、白衣を着た女性である。 「身体の体調は?傷はもう癒えてる?」 「……あぁ、体調はまぁまぁ、傷はまだ痛い。って」 いやいや、そうじゃなくて、話進めるなよ。 「お前は誰だ?ここはどこだ?そしてなんで俺はこんなざまになってる!?」 問い詰めるように質問する俺。 女性が少し引いている。 「そういっぺんに質問しないでよ。あたしの名前は『嵐間奈々美(あらしまななみ)』、ここは『月光機関』の施設。そしてなんであんたがそうなってるのは」 とん、と俺の腹を巻いている包帯に手を付ける。 「瀕死の重傷になってたから、で良いかしら?」 「…………」 色々とごちゃごちゃしててよく解らん。 確かに質問には答えたが、それでもなにかすっきりしない。 「そもそも『月光機関』ってなんだ?お前の考えた架空の組織か?」 「……まぁ、信じないわよね。でも信じてしまうのよ。その腹部の傷がある限りね」 「…………」 確かに、この傷は、あの怪物から受けた致命傷。 まだズキズキと痛むことが現実、 『月光機関』といい、あの怪物といい、 あながち嘘にも聞こえない。 じゃあ、事実なのか? 「……でも」 「まだ信じないの?じゃあこれでも嘘だと言える?」 女性、奈々美は、おもむろに右手で俺の頬を掴むと、 そのまま引っ張った。 その光景に、俺は思わず絶句してしまう。 何故なら、 俺の頬が、ゴムのように伸びていたからだ。
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