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「……ん」
身体中に疲労感を感じながら、俺は目が覚めた。
あれ?いつの間に俺は寝てたのか?
つーか、天井よく見たら、なんか見たことない白い天井だ。
しかもベットが不思議と硬い気がする。
「よいしょ……!いたたた!!」
起き上がろうとすると、腹部に激痛が走る。
腹を下したか?と思ったが、肌触りが寝巻きとは違う。
自身の腹部をよく見ると、白い包帯がまかれている。しかも上着は脱がされていて、ズボンだけ履いていた。
「あ?なんで俺上半身裸なの?」
脱ぎ癖は俺には無い。しかし脱いでいる事に変わりは無い。
いや、それより、
「なんで包帯なんて巻いているんだ?」
「気がついたのね」
ふと、部屋に一人の女性が入ってきた。
長い髪を後ろで一つに束ねたポニーテール、モデルを思わせるスタイル、青色の縁のメガネをかけ、白衣を着た女性である。
「身体の体調は?傷はもう癒えてる?」
「……あぁ、体調はまぁまぁ、傷はまだ痛い。って」
いやいや、そうじゃなくて、話進めるなよ。
「お前は誰だ?ここはどこだ?そしてなんで俺はこんなざまになってる!?」
問い詰めるように質問する俺。
女性が少し引いている。
「そういっぺんに質問しないでよ。あたしの名前は『嵐間奈々美(あらしまななみ)』、ここは『月光機関』の施設。そしてなんであんたがそうなってるのは」
とん、と俺の腹を巻いている包帯に手を付ける。
「瀕死の重傷になってたから、で良いかしら?」
「…………」
色々とごちゃごちゃしててよく解らん。
確かに質問には答えたが、それでもなにかすっきりしない。
「そもそも『月光機関』ってなんだ?お前の考えた架空の組織か?」
「……まぁ、信じないわよね。でも信じてしまうのよ。その腹部の傷がある限りね」
「…………」
確かに、この傷は、あの怪物から受けた致命傷。
まだズキズキと痛むことが現実、
『月光機関』といい、あの怪物といい、
あながち嘘にも聞こえない。
じゃあ、事実なのか?
「……でも」
「まだ信じないの?じゃあこれでも嘘だと言える?」
女性、奈々美は、おもむろに右手で俺の頬を掴むと、
そのまま引っ張った。
その光景に、俺は思わず絶句してしまう。
何故なら、
俺の頬が、ゴムのように伸びていたからだ。
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