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「……え″っ!?」
ナンデノビテルノ?
ヒフッテコンナカンジニノビルモノナノ?
「信じてくれるかしら?」
「……あ、あぁ、信じるよ」
もう信じぜざるを得ない。
俺の頬がここまで伸びるなんて、夢でも見てるのか?と思ったが、
腹部の傷が痛む。だからこれは夢じゃない。
夢と定義する事ができない。
安心したように、奈々美は伸びた皮膚を離す。
ばちーん!と俺の頬に戻る皮膚。
ちょっと痛い。
「見ての通り、あんたの身体はゴムのように軟体になってるわ。ところであなた、『怪人』って知ってるかしら?」
「かいじん?なんだそりゃ?」
仮面ライダーに出てくる敵キャラか?
「特異能力を兼ね備えた化け物の名前よ。かつて日本にも居た。
そしてその身体の軟体さは、『怪人』の能力そのものよ。『怪人』の能力を持った人間を、あたしたちは、『怪属』と呼んでるわ」
「怪属ぅ?」
なんて胡散臭いネーミングなんだ。怪属って、海賊じゃあるまいし。
「『怪』人に『属』する人間。それを略したものが『怪属』よ」
「なんか駄洒落を込めてるみたいだな」
「あ、解った?海の『海賊』とかけたのよ」
マジで駄洒落かよ。
「……ってか、なんで俺が、こんな身体になってるんだ?まさか、お前治療がてらこんな身体にしたのか?」
「違うわよ。あたしはただ、あんたの傷を治しただけ、でもあの攻撃を受けたはずみで、あんたの内に秘めた『怪属』の力が目覚めたのよ」
…………
なんてこった。じゃあ俺は人間じゃなかったのか?
全く、酷い冗談だ。
「あんた。 勘違いしてると思うから、一つ言っておくけど、
『怪属』はあくまで『怪人』の特異能力を持った人間だから、『怪人』である事とは関係はあまりないわ。関係があるとするなら、親が『怪人』だったとか、親族に『怪人』の肉を食べた人物が居たとか、
それか、あんたが『怪人』に会って、その肉を食べた、とか」
それは絶対無い。大体『怪人』の肉って美味いのかよ。
「……まぁ、可能性があるといえば、俺の親族に、『怪人』の肉を食べたやつがいる。ことぐらいか」
「親が『怪人』である可能性は否定するのね」
「絶対にあってたまるか。そんなこと」
特に親父が、『怪人』故に命を落としたなんて、絶対に受け入れんぞ。
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