3話

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リングの森の入り口で2人と別れた私は、慣れ親しんだ森を進んでいました。 ア「大分雰囲気が変わってる。」 思わず呟くほどに森はその雰囲気を変えていました。 前に来たときはもっと明るく、植物も活き活きしていたようなイメージでしたが、今の森は暗く陰鬱で、あまり良くない雰囲気でした。 ア「マッシュ系は樹の上にも生えるから上にも気を配らないと…」 辺りをキョロキョロしつつ森を進んでいると、一本の樹の中程にゼリー質なのに苔のような、緑色の塊を見つけました。 ア「あれは採取対象だね。って言うか触って大丈夫なやつかな?」 一抹の不安を覚えつつ、私は風魔法の『浮遊』をつかってその物体に近づきました。 ア「そーっとそーっと…よしっ!」 私はそれを遮光袋という特殊採集用の袋に採取し、地面に降り、さらに奥へと進みました。 さらに進み、木の虚でヒカリゴケの亜種で貴重な薬の原料になる黒ヒカリゴケを。 さらに倒木の影から水性魔獣の毒を解毒する薬を作るのに欠かせないアワ草。 水場からは魔力を回復する薬を作るときに使うヌメルマッシュを発見しました。 どれも危険度の高い採集場所にしか生えないものでした。 この時に気付けばよかったのです。 私が採集したものが全て 『危険度の高い採集場所にしか生えないもの』 であることを。
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