深紅の薔薇

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 僕はいつも彼女を陰から見つめていた。声を掛けたい。触れてみたい。その欲望がいつも心の中で渦巻いていた。  父の仕事の共として公爵家を訪れる時、僕は彼女の姿を探さずにはいられなかった。その姿を見られなくても、屋敷に満ちる彼女の空気を感じられるだけで幸せだった。
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