3人が本棚に入れています
本棚に追加
『ごめんね
由利君…』
放課後
わたしは屋上で
由利君に昨日の事を謝った。
「ううん。
気にしないで。」
何時ものように
にこりと笑う由利君。
その優しさが少し切ない…
由利君に気を遣わせちゃったから…。
『…ありがと……
でも本当…台なしにしちゃって…
ごめん…』
そんな由利君を見たくなくて俯いた。
「気にしないでいいよ🎵」
明るくて無邪気な由利君の声に
顔を上げた。
『…あの…
泣いてた事…言わないで?
みんなには…。』
知られたくなかった…誰にも。
わたしを見て
少し考えた由利君は再び笑った。
「うん。
わかった。」
『ありがとう。』
俯いた由利君…。
「あの、さ…
やっぱり、イクトなの?
琴美ちゃんを泣かせたの…」
気まずそうに話す由利君…
無意識の内に拳に力が入った。
思い出すと胸がずきずきして涙が出そうになる…。
『ちっ…違、う…よ…
…バイバイ…由利君。』
由利君に涙を見せたくなくて
背を向けた。
「そっか…バイバイ。
また明日。」
何も聞かずにわたしの背を押した由利君…
『うん…』
涙声で校舎に入った。
ー由利ー
琴美ちゃんが屋上から校舎に入って行った…
強がんなくてもいいのにな…
ガッシャンッ
屋上に張られた金網のフェンスを蹴飛ばした……
「はあぁ゛~」
なんで
心を掻き乱すんだろうな…琴美ちゃんは…
昨日
琴美ちゃんの涙を見た時
凄く辛かった。
イクトの側で
琴美ちゃんが笑ってるから
諦めようって思ったのに…
琴美ちゃんが幸せなら
笑ってくれるなら
それでよかったのに…
なんで…
イクトは泣かすのかな…
言ったはずなのになぁ……
泣かすような真似したら赦さないって
…琴美ちゃんの涙を見たら諦めらんないよ…
フェンスに頭をつけて
拳をにぎりしめた。
最初のコメントを投稿しよう!