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それから彼は、養子として引き取られた先で召使いのように扱われ、15歳の時、施設に引き取られたことを明かしました。養父母の色眼鏡に合う子にはなれなかったのだろう、と言う彼に、私は運命というものを感じざるを得ませんでした。なぜなら、私も幼い頃、両親から暴力を受けていたからです。
私の両親は異常なまでに教育に厳しく、気に入らないことがあればすぐに私を殴り、ヒステリックに喚き散らす人でした。習っていたピアノも習字もバレエも、一定の成績をあげなければ頬を叩かれました。自分勝手な行動は一切許されなかったのです。
……ですから、私は雨宮との交際を両親に言うことはできませんでした。私が幼い頃、バラエティー番組を観ながら父が呟いた「日本人が外国人と恋愛するなんてどうかしている」という言葉が、呪いのように私の頭に残っていたからです。
父は独断と偏見に満ちた頭のおかしい人間なのですが、それに逆らうことはどうしてもできませんでした。
その話をすると、彼は私の身体を抱き寄せて、ほとほと自分の容姿が嫌いだと言いました。青い瞳も、色白な肌も、金色の髪も睫も、珍しがられるから大嫌いだ、と、彼はむくれるのです。けれど、私は彼のマリンブルーの瞳も、癖のある金色の髪も、何もかもが大好きでした。
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