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次の日、私はその友人に背中を押され、雨宮に直接会い、妊娠を報告しました。
子どもはもう見てわかるくらいに大きくなっていたので、待ち合わせ場所である公園に来た雨宮はすぐに私の妊娠を悟ったようでした。目を見開いてぽかんとする彼と向き合って、捨てられるのを覚悟しながら、私は重たい唇を開きました。
子供ができた、と聞いた瞬間、雨宮は空色の瞳を細めて子供のように笑い、歓声をあげて私の身体を抱きしめました。
半ば強制された行為でできた子。もしかしたら、雨宮は最初からそのつもりだったのかもしれない。そう思いました。周りで遊んでいる子供たちとその親、散歩に来た人々がいる中で、彼は私の両手を握りしめるのと同時に「やったあ!」と叫び、太陽のように笑ったのです。
こうして、私は大学院に進むことを止め、主婦として雨宮と同居を始めました。
彼が仕事で得るお金と、私の貯金とで、懸念していたアパートも都心の二階建て集合賃貸住宅を借りることができました。
二階、といっても、窓がひとつだけある、粗末な部屋です。不動屋さんからは「ほかの入居者さんは物置として使っていますよ」という話を頂きましたが、二人で相談して、ここは子ども部屋にしよう、ということになりました。
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