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私の机の携帯がなった。 きっと母さんからだ。 電話に出る事も出来ずに そのまま仕事を続ける。 気づくと昼休みになっていた。 昼食を食べ始めて携帯を手に取った。 母さんからの着信は五回? 流石に胸騒ぎがした。 慌てて電話をかけ直すと コール音もなく母が出た。 「どうしたの?なんかあった?」 「よかった。あのね階段からおちちゃって 多分 骨折ったみたいなの」 「えっ!今何処にいるの?」 「家よ」 「なんで救急車呼ばないの?」 「鍵が閉まってるから、 救急車が来ても 階段降りて開けられないのよ」 「すぐ帰るから」 会社に事情を話して 慌てて自転車に飛び乗った。 会社から自宅までは五分とかからない。 必死に自転車を漕ぎながら 涙が溢れる。 出れなかったわけじゃない。 確かに忙しかったけど、でも…… ほんの少し手を止めて 電話に出る事は出来たんだ。 初めの着信からもう、2時間も経ってる。 母さんごめんね…… すぐ帰るから
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