~プロローグ~

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「…すいません、寝てました。」 「寝ていたのは分かってる。それよりお前、なんで俺の授業はいつも寝てんだ?」 教卓から離れ、俺の横で腕を組み、仁王立ちした中村は威圧的な表情で俺を見下ろしていた。 「……。」 「なんで」と、訊かれても理由なんて考えても出て来なかった。 「自分の事なのに答えられないか? 俺の授業はそんなに退屈か?」 「…いえ、別に退屈って訳じゃ──」 「お前今年は受験生だろ!!」 俺の言葉は中村に遮られた。 「人の話は最後迄訊きましょう」──小学校低学年の頃、そう言ってよく先生に叱られたものだった。
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