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「お前とは1度しっかり話し合いたかった。」
と、言う中村の表情は、意外にも穏やかだった。
「お前は俺が嫌いな様だが、何が気にくわないんだ?」
教会の牧師すら思わせる中村の物腰の柔らかさに、俺は少し泣きそうになった。
こういう時の大人は何故だか決まって優しい。
「別に、先生の何が気にくわないとかじゃなくて、ただ──」
尻切れに口籠った。
果たして正直に言って良いことなのだろうか、と考え込む。
──10年以上も昔のことだ。
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