下界

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扉を潜れば魔界に通じていると言われる街の一角の神殿に転送されると言われている。そんな根拠が何処に存在するのだろうか不思議でたまらないのだが…とにかくそう言う事になっているらしい。  扉を潜るともうすでに神殿の内部に立っていたものだから、転送されたのかどうかの真実はわからない。 「扉、無くなってるな。」  神殿を見渡して言う魔王…レオンは呟いた。目の前の扉は明らかに先程自分たちが潜った扉とは違うだろう。 「此処は一方通行って噂みたいです。」 「じゃああれか?此処から魔界には戻れないのか?」  そう尋ねるレオンに頷くウィリアム。 「今下界では、打倒魔王で動いている教会と言う大きな組織があるんです。その組織の中に魔王を倒せる巨大な聖剣を握ると言われている勇者がいて…下界から魔界に繋がると言われている場所に本当に魔界に通じる道があれば……魔族は滅んでいると思われます。」  そうなのか?と首を傾げるレオンに悪魔…ロゼリアは顔に掛かった髪を鬱陶しそうにかきあげながら言う。 「だから陛下を下界に連れて行きたくなかったのです。」  それは悪かったなと言うレオンに対してに「いえ。」とだけ返すロゼリア。  辺りを改めて見回してみる。この場所は年季が入っており、壁を形成している石は所々罅割れていたりかけていたりしている。床も壁も天井も薄暗がりの中ではどんな色をしているのかがわからない。唯一の光は壁に立てかけてある燭台のみだ。  とりあえずここから出ようと言う事になり、壁に立てかけてあった燭台を勝手に持ち出した。罰が当たらないか尋ねるレオンにウィリアムは魔王陛下に罰は当たらないだろうと言った。
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