下界

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 神殿の内部構造はいたって簡単な真直ぐな道だけだった。罠など設置されていたら、この協調性の無い面子は大変だっただろうが。  神殿から外へ通じる扉を開くと少し開けた場所に出た。鬱蒼と茂る木々にうんざりしながらも前を覗くと木漏れ日がある。 「街中ではないけど街は近い様ですね。」 「なあ、オレ凄い疑問点なんだけどさ………オレ達宿代とか、持ってるの?」  その疑問に固まったのがロゼリア。すぐ懐から麻袋を取り出したのがウィリアム。 「金に関しては抜かりありませぬ陛下!!!」  ウィリアムが麻袋を振ると多量の金貨と金貨がぶつかり合う音がした。 「それ、何で持ってるんだよお前…。」 「いえ…魔界に来た時の下界の持ち物でして。魔界じゃ下界の硬貨など扱えるわけも無いので、何となく。」  何となくって…と呆れながらもウィリアムの硬貨に安堵するレオン。 「じゃあ、街に行きますか。」 「その前に…陛下。」  歩き出そうとしたレオンを引き止めるロゼリア。レオンはなんだよと顔に表しながら振り返る。 「流石に下界で『陛下』と御呼びしたら…正体が露わになってしまうかもしれません。」  そんなロゼリアにウィリアムも同調する。 「無礼を働いて、レオン様と御呼びしても構いませんか?」 「構わないけど…」  それでは、街に向かいましょうか?  そう言って人が集る街に歩を進めた。
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