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勇者とは、優しいそうな顔をしている別にそこら辺にいそうな…ごく普通の顔立ちをした筋肉質な男だとレオンは思っていた。
目の前に表れた勇者と呼ばれている人物は小さく華奢な体つきをしていて、金髪を控えめに二つに結っている。気の強そうなつり目がちの珍しい橙色の瞳をしていた。腰には細身の剣がある。さらに…柔らかなラインが特徴的な女性であった。
絶句しているレオンを横目に男は興奮したように血色がよくなり、拳を握りながら叫ぶ。
「エリヴィア様は…女神の如く美しい!!!」
そんな男等には目もくれず、勇者は仲間の一人に振り返る。黒鉄色の髪に金色の瞳を持つ、白基調のローブを着た長身の青年にひそひそ何かを話す。
青年は親指を立てる。アテレコするなら俺に任せろ!と言った所か…。青年はそのまま宿の方へ走り去った。
「な?勇者様美人だろ?」
「あ、はい。」
悦な顔してる男に微笑んで頷くレオン。内心ではアレなら勝てると思いながら…
そんな事を考えていたから罰が当たったのだろうか?
勇者がつかつかレオン達の方へ歩んできた。人々の視線が痛い。羨望、好奇心、妬み、恨み様々な視線がこもっている。
レオンの前で立ち止まり、思いっきり可愛い顔で勇者は言った。
「貴方、今晩私の為に狩りしないかしら?」
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