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意味がわからんと言いたげな顔をしているレオンと、隣にいた男の手を握って勇者は数歩歩いた。無論、ギャラリーは一緒に動こうとする。
「すこし、この人達とお話したいの。」
そう勇者がいうと、人々は恨めしそうに二人を睨み、勇者から離れた。勇者は満足そうに二人の手を引いて人垣から離れた。
「私さ、見ての通り華奢で可憐なか弱い乙女なのよ。」
どの口が言う。と真っ赤になっている手を眺めながら内心で毒づく。男はかなりの勇者信者なのか、鼻息も荒く興奮しながら頷いた。
「この付近にスライムってモンスターいるじゃない?それの頭を退治してきてもらいたいの。」
勇者なら自分で行けよと思いながら黙って聞く。本能が口答えをしたらヤバイと告げている。
「で?スライムの頭倒したらなんかメリットあんの?」
そう尋ねるレオンに勇者は不気味なほど笑顔でいい放つ。
んなもんあるわけないでしょ、と。
この怪力女めと思いながら反論は出来ない。
何故俺を選んだのだとレオンは自身をみやって思う。勇者と変わらない…否勇者より華奢かもしれない体つきをしているのだ。一応腰には愛用の双銃のホルスターがある。だがロゼリアに下界で魔力をあまり使うなと言われているから使えない。
脅すような笑顔に隣は悦な男。
「スライム…ねぇ…」
乾いた笑い声が漏れた。
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